“櫻坂46″として生きていく決意 / 櫻坂46『Nobody’s fault』歌詞の意味と解説

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今回は、先日の突然の改名発表から、渋谷スクランブル交差点の街頭ビジョンで新グループ名の発表が行われ話題となった「欅坂46」改め「櫻坂46」のデビューシングル「Nobody’s fault」を紹介していこうと思います!!

10月12・13日の2日間にわたって行われたラストライブをもって改名、再出発することとなった櫻坂46
櫻坂46は元々は2015年6月、乃木坂46に続く“坂道シリーズ”第2弾「鳥居坂46」1期生メンバーとして募集を開始し、オーディション最終審査で合格者22人を発表直後、いきなり「欅坂46」に改名すると発表した経緯があり、今回が5年ぶり2度目の改名となります。

櫻坂46

これまで従来のアイドルとは異なる独自の世界観や楽曲で、ファンを魅了してきた彼女たちですが、果たして楽曲の世界観、彼女達が目指すアイドル像がどのように変わるのか。
またそんな彼女達が再出発を共にするデビューシングル「Nobody’s fault」とは一体どのような楽曲なのでしょうか。

Nobody’s faultとは

今作のタイトルは「Nobody’s fault」、直訳すると「誰のせいでもない」「誰も間違っていない」という訳になります。
欅坂46時代を振り返ってみると、メンバーの数々のスキャンダルや脱退、さらにはメンバー内のイジメや不仲説などが取り沙汰され、一時は解散説が流れてしまうほどグループ内の空気は非常に悪かったと噂されています。

それらの騒動に加え、欅坂46の絶対的エースであった元メンバー平手友梨奈に対する世間一般の風当たりの強さ、また欅坂46のドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46」で語られたメンバーから彼女に対する想いが、一部メディアにて悪く取り上げられたこともあり、事情を知らない外部からは、「〇〇のせいだ」「〇〇が悪い」など一部のメンバー標的とされることもしばしば。

結果、グループの不仲説に拍車をかける形になり、改名を余儀なくされたと言っても過言ではありません。
(実際の所は分かりませんが、僕自身ドキュメンタリー映画を見た感想としてはグループ仲は至って普通に見えましたし、彼女達の表には出されないグループに対する愛やアイドルとしての芯の強さの方が印象的でしたね。笑)

すみません。少し話が逸れました(笑)。
ですがそのような背景を鑑みると、今作「Nobody’s fault」には、そんな過去の自分達に向けたメッセージも込められているのではないかと思います。

そんなNobody’s fault、作詞を秋元康が担当し、作曲はデレク・ターナー、編曲はこれまで欅坂46の「世界には愛しかない」「避雷針」、日向坂46の「誰よりも高く跳べ!」のアレンジも担当した野中“まさ“雄一が担当。そして櫻坂46として初のシングルは2期生・森田ひかるがセンターを務めることとなりました。

櫻坂46として再始動するにあたって、新しい試みや変化もありますが、まずは楽曲に込められた思い。そして本記事のまとめではMVの解説も併せて行いたいと思います!!

それではNobody’s faultの魅力、歌詞に秘められたメッセージを考察していこうと思います。皆さんも是非こちらの記事を参考に歌詞の意味を御自身なりに読み解いてみてください!!

吐き捨てられた台詞

この世界を変えようなんて
自惚れてんじゃねえよ
知らぬ間に汚れちまった空は
宇宙が見えない Blue

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

まず始めにAメロを聴いて驚いたのがその「言葉遣い」
“自惚れてんじゃねえよ" “汚れちまった"といった、欅坂46時代では考えられない、吐き捨てるような言葉遣いが凄く印象的でした。

またその歌詞も、当ブログでも取り上げた「サイレントマジョリティー」「不協和音」などのかつての楽曲のように、周りの意見などは関係なく自分の正義を貫くといったような内容ではなく、世界を変えようとしてきたそれまでの自分達を否定するようにも思える内容も衝撃的です。果たしてこれは誰に対して吐き捨てられた台詞なのでしょうか。

そんなAメロでは、これまで世界を変えようと翻弄してきた結果、気付かないうちに汚れてしまった(ように見えた)空が目の前には広がり、映画や小説のような雲一つなく宇宙までも見透かせるような真っ青な空には見えなくなってしまったようです。それは一体何故なのでしょう。

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心の曇り

自分が吐いた息と嘘で
締め切った窓は曇ってるぜ
心の空気を入れ替えろ!
それでも夢を見たいなら

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

ここでの“締め切った窓"は自分の中にある、心の窓を差しているように思えます。
そんな心の窓は、自分を守るために、息をするように吐いてきたかつての言葉や嘘のせいでどんどん曇っていき、本当の自分とは何なのか。周りからは勿論、自分自身でさえも見えなくなっているように思えます。

これまでの欅坂46の歌詞の特徴として、誰かへ自身の想いを強く訴えかける楽曲であると同時に、自分達にも向けられた励まし戒めにも似たメッセージが込められた楽曲が非常に多かった印象です。

そんな欅坂46時代のように誰かに向けて夢を語り、自分たちが夢に生きていたいのならば、過去の自分達とは決別し、他でもない自分達の手で今の心の曇りを晴らすしかないのだと僕らに訴えかけ、また彼女達自身にも言い聞かせているのではないのでしょうか。
僕たちリスナーに対する、彼女達なりの決意表明がそこには秘められているようにも思えます。

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誰が悪いのか

No! No! No! 他人(ひと)のせいにするな
鏡に映ったおまえは誰だ?
勝手に絶望してるのは
信念がないからだってもう気づけ!

No! No! No! 誰かのせいにしても
一つが残る椅子取りゲーム
それならいっそ 孤独を選びな!
No! No! No! Nobody’s fault

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

1番サビでは、そんな弱り切った自分達を必死に鼓舞しているような歌詞になっています。自分が思うようにいかない時は、誰かを責め、他人のせいにして自分は悪くないと思いたくなるものです。
そんな時にふと鏡を覗いて映った今の自分は、夢や希望を抱き、輝いていた頃の自分とはまるで別人のように思えたのでしょう。

そんな今の自分では、とても以前のように大人への不満同調圧力に屈しない信念を歌うことは出来ません。それは今の負の境遇を、誰かのせいにして絶望している自分が原因であることにはまだ気付けていないのです。

また“誰かのせいにしても 一つが残る椅子取りゲーム"というフレーズですが、本来椅子取りゲームは人を蹴落として、最後に一人が残るゲームですが、ここでは一人ではなく一つが残ると表現されています。推測ですが、そんな不毛な争いをしなくとも、初めから信念を持ち挑戦する全ての人にはチャンスが与えられているのではないのでしょうか。

であれば、誰かが決めたルールの中でわざわざ誰かを蹴落とすゲームに参加する意味はなく、誰かを傷つけた末に、周りから誰も居なくなるのなら、誰も傷付けぬまま孤独を選べと言っているように思えます。

大人とは何か

生き方を改めようなんて
できるわけないって逃げるのか?
いつのまにか大人になっちまったんだ
言い訳ばっかでうんざり

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

生きている間にどれだけの人が自分を見つめ直し、それまでのダメな自分を受け入れて改められるでしょうか。
2番Aメロでは、初めから自分は変われないと諦め、逃げることを選ぼうとしている自分に、果たして「このままでいいのか」と自問自答しているように思えます。

また“いつのまにか大人になっちまったんだ"というフレーズは、褒め言葉としての肯定的な意味ではなく、大人=言い訳ばかりで生き方を改められないとの解釈で、皮肉を込めて歌われているように思えます。

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その花を咲かせたいのなら

泣き言なんか聞きたくもねえ
どんなに悔やんでも 叫んだって…
やるか?やらないのか?それだけだ
もう一度 生まれ変わるなら

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

2番Bメロ、個人的には欅坂46であった彼女達へ、これまで以上の期待を込めて歌詞が作られた、強い想いが感じられました。

これまで、大人には屈せず自分達の信念を貫く、そのスタンスで臨んできた彼女達ですが、僕らでは想像もつかないような辛い出来事をいくつも経験し、時には過去を悔やみ泣き叫んでしまうこともあったのではないでしょうか。ですが、彼女達の心の叫びは残念ながら誰にも届かないまま、欅坂46としての活動に幕を閉じる形となってしまいました。

そんな彼女たちが心機一転するチャンスを得たのが櫻坂46としての新たな道。
櫻坂46として、もう一度その花を咲かせたいのなら、やるか、やらないか。
彼女達には、そのどちらかの選択肢しか残されていないのです。

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櫻坂46として生きていく

No! No! No! 綺麗事を言うな
洗っても洗っても落ちない泥だ
それでも生きる 強さを信じろ
No! No! No! Nobody’s fault

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

そして2番サビです。
MV本編ではそれまでの制服姿から、新たに櫻坂46の衣装へと、装いを新たにするメンバーの姿が見られます。
これは彼女達が櫻坂46として生きていくと決意した様子を表現しているのではないでしょうか。

欅坂46として生きてきた彼女達。
僕らの世界でも、他人には踏み込まれたくない、経験したことのある人間にしか分からない不安や苦しみを抱えることはあるはずです。それをまるで分かったかのような口ぶりで語る偽善者達の言葉は、決して響かない、ただの綺麗事なのです。

“洗っても洗っても落ちない泥"はそんな偽善者達の濁った言葉であると同時に、彼女達の辛かった過去も簡単には落とせない、泥にまみれてしまったというのを暗に表現したフレーズのように思えます。
そんな汚い世界でも、誰かのせいにせず、自分の生きる強さを信じて生きていくしかないのだと、僕たちに気付かせてくれるようなサビになっています。

自分たちの弱さを曝け出していた1番までとまるで印象が違う、それでもどこか、かつての欅坂46を彷彿とさせる力強く訴えかけるメッセージが2番サビでようやく蘇ってきたように思えました。

誰のせいでもない

どんなに深い森も一本の木が
集まってできているんだ
風が吹けばわかるだろう Yeah
光と影は何度も重なり合い 大きな森になるのさ
自分の(自分の)せいにもするな WOW

No! No! No! 誰のせいでもねえ
天に唾を吐くな

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

“どんなに深い森も一本の木が 集まってできているんだ"櫻坂46のメンバーそれぞれを思わせるような表現からCメロが始まります。
これまでも、そしてこれからも世間の心無い言葉風評被害が、風が吹くかのように、耳に入ってしまうこともあるでしょう。ですがそんな時にこそ、自分の周りには味方でいてくれる沢山の仲間がいることに気付けるのだと伝えてくれているように思えます。

そして櫻坂46という名の森を司る一人一人が、成功と挫折光と影を知ることで人間として大きくなれる事を表現しているのだと思います。

またこれからは“天に唾を吐く"(人に害を与えようとして、かえって自分に災いを招くこと)ことなく、成功も挫折も、全てを全員で背負い、誰かのせいにしたり、ましてや自分だけが悪いという考えなどは捨てて、一人も欠ける事なく共に歩いて行こうとする、そういった新たな決意が感じられました。そう。誰も悪くないのです。

新たな戦いの始まり

No! No! No! 他人(ひと)のせいにするな
鏡に映ったおまえは誰だ?
勝手に絶望してるのは
信念がないからだってもう気づけ!

No! No! No! 誰かのせいにしても
一つが残る椅子取りゲーム
それならいっそ 孤独を選びな!
No! No! No! Nobody’s fault

出典: Nobody’s fault/作詞:秋元康 作曲:デレク・ターナー

同じ内容でも、これまでの歌詞と繋ぎ合わせると1番とは全く意味合いが違うエネルギッシュな表現に思えてこないでしょうか。またサビのメロディを転調する事で、より力強くメッセージが伝わります(初めからこのキーで歌う事を想定した上で1,2サビを作ったとしか思えないほど良い仕上がりです)。

過去は振り返らない彼女達。ですが、決して捨てるのではなく欅坂46を確かに引き継ぎ、新たに櫻坂46として生きていくと決意した、彼女達の戦いの始まりを予感させたまま「Nobody’s fault」は幕を閉じるのでした。

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MV感想とまとめ

さて、いかがだったでしょうか。
実は今作「Nobody’s fault」は歌詞の内容もさることながら、MVの世界観がファンの間で話題となっています。というのもMVや楽曲の振り付けの中に、様々な欅坂46へのオマージュが込められているからです。

「二人セゾン」を彷彿とさせる菅井友香田村保乃が背中を合わせカメラに指を向けるポーズや、カモメが飛ぶシーン、「語るなら未来を」にもあった口元に坂道ポーズを持っていく仕草や、センターの森田ひかるを中心にメンバーが囲うシーン。

他にも、「アンビバレント」 「不協和音」からのオマージュや、MV後半のメンバー1人ずつのアップや櫻坂46のロゴで終わる描写は「サイレントマジョリティー」からのオマージュになっており欅坂46ファンとしては違った楽しみ方も出来る作品になっていると思います。

また「Nobody’s fault」の2番Cメロでは“自分のせいにもするな"とのフレーズがありますが、これは欅坂46の楽曲「黒い羊」へのアンサー的な要素も含まれているのではないかと感じました。(※周りと中々馴染めない自分を責めてしまうストーリーの楽曲で“全部僕のせいだ"との歌詞が出てきます。)

これだけのオマージュをあえて踏襲することで、欅坂46との決別を意味しているように思えるとの意見もありますが、個人的にはこの曲への考察の通り、過去を否定するのではなく櫻坂46欅坂46という坂の続きにあって、どんな困難も乗り越えた先に、いつか櫻の花が咲くそんな日を願っているのだと思います。

櫻坂46としての戦いはまだ始まったばかりです。これからも温かく見守っていきたいと思います。長くなりましたが今記事をご覧頂いた皆様、ありがとうございました!!